2023年10月6日(金)公開『アンダーカレント』


「人をわかるってどういうことですか?」
人間関係が希薄になったこの時代だからこそ贈りたい
現代を生きる人々の心を揺さぶる物語

 かなえに扮するのは、真木よう子。銭湯の常連たちからは「気が強い」と言われながらも人気者で、クールでサバサバした性格に見えるが、あるトラウマを抱えるかなえを繊細な感情のグラデーションで演じきった。かなえの銭湯で、アパートが見つかるまで住み込みで働くことになる堀には、井浦新。さりげない思いやりに満ちた心優しい男だが、人に言えない事情を内に秘めている堀をその佇まいで体現した。悟を探す探偵・山崎には、リリー・フランキー。カラオケボックスや遊園地で調査報告を行うなど、見た目から言動まで、すべてが胡散臭くて怪しげな人だが、実は作中随一の切れ者であるという人物像を、絶妙なバランスで完ぺきに創り上げた。かなえの失踪した夫・悟には、永山瑛太。かなえの回想の中に出てくる悟の笑顔と優しさが、物語が進むにつれて意味深く見えてくる人間の不可思議を表現した。かなえの大学時代の友人で、悟とも交流のあった菅野には、江口のりこ。初めて触れたかなえの弱い部分も受け入れようとする、包容力のある人物を自然体で演じた。さらに共演に、中村久美、康すおん、内田理央と、キャラクターに魂を吹き込む実力派が顔をそろえた。

 監督は、『愛がなんだ』『ちひろさん』の今泉力哉。これまで、主に⻘春映画やラブストーリーを手掛けてきた今泉監督が、観る者の心身にじっくりと沁みわたるヒューマンドラマを完成させた。共同脚本は今泉監督と、『愛がなんだ』でもタッグを組んだ澤井香織。さらに、日本の音楽史を創ってきた細野晴臣が音楽を担当。

 人と人をつなぐコミュニケーションツールは日々進化し続け、今では直接対面することなく、いつでもどこにいても、やり取りすることができる。だが、その手軽さこそが、現代の人と人の関係性を希薄にしているのかもしれない。なぜ、悟は消えたのか? どうして、堀は現れたのか? かなえが繰り返し見る水に沈められる夢の意味とは?

 彼らが自身の本当の心の中を見つめ、そして語る時、私たちは人間という存在の豊かさに触れ、他者を知ること、自分自身を見つめることの切なさと喜び、ときめきと感動を思い出す。今、こんな時代だからこそ、すべての人にそっと手渡したい愛おしい作品が誕生した。

主演 真木よう子『さよなら渓谷』『そして父になる』
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監督 今泉力哉『愛がなんだ』『ちひろさん』
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音楽 細野晴臣『万引き家族』『メゾン・ド・ヒミコ』
伝説的ロングセラー漫画を超豪華キャストで完全映画化!

 

INTRODUCTION

家業の銭湯を継いだかなえ。
夫が失踪し、謎の男・堀が現れ、怪しげな探偵・山崎と出会う。
ある事件をきっかけに浮かび上がるそれぞれの想いとは?
 夫の悟が突然失踪し、途方に暮れるかなえ。一時休業していた家業の銭湯を再開すると、堀と名乗る見知らぬ男が「働きたい」とやって来る。職も住居も転々としてきた堀は、自分のことは一切語らず、ただ黙々と仕事に打ち込む。一方、かなえの友人の紹介で、胡散臭い探偵・山崎と悟を探すことになるが、調査の過程でかなえの知らなかった悟の事実があらわになる。傷ついたかなえは、物静かな堀との穏やかな時間に救いを見出していく。だが、あることをきっかけに、悟、堀、そしてかなえ自身も知らず知らずのうちに心の底に沈めていた本心(アンダーカレント)が、徐々に浮かび上がってくる──。
 原作は、2010 年に漫画界のカンヌと呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭のオフィシャルセレクションに選出され、同年にパリで開催された Japan Expo で第 3 回 ACBD アジア賞を受賞した、豊田徹也の漫画『アンダーカレント』。日本国内では、2014 年に「このマンガがすごい!」(「smart」宝島社アンケートより)感動部門 1 位に輝き、フランスでも 2020 年に発表された「2000 年以降絶対に読むべき漫画 100 選」において名だたる漫画作品が並ぶ中堂々の 3 位を獲得した。2004 年に出版されてから 19 年、⻑く深く熱く読み継がれ、登場人物たちと濃密な時間を共に生きた読者の心の奥底に、唯一無二の足跡を残し続ける作品の映画化が、ついに実現した。
 

STORY 

誰しも、人には言えない大切な<嘘>を秘めている。
穏やかな日常に漂う<心の奥底>アンダーカレントに触れたとき、差しこむ一筋の光とは‒‒。

 亡き父から家業を継いだかなえ(真木よう子)は、共同経営者である夫の悟(永山瑛太)と、パートとして働く木島(中村久美)と店を切り盛りしていたが、ある日突然、悟が失踪してしまう。理由も行先も全く心当たりのないかなえは途方に暮れるが、いつまでも休んでいるわけにはいかない。「都合によりしばらく休業致します。」と書いた貼り紙をはがし、銭湯・月乃湯を再開する。数日後、とりあえずの働き手を頼んでいた銭湯組合の大村からの紹介で、堀(井浦新)と名乗る男が現れる。かなえは数多くの資格を取得している堀の履歴書を見て、「うちじゃなくても・・・」と戶惑うが、堀は意に介さず今日から働きたいと言う。さらに、手違いで堀が「住み込みの募集」と聞いていたことから、アパートが見つかるまでという条件で、かなえの家で暮らすことになる。

 大学時代の友人・菅野(江口のりこ)と、スーパーで偶然再会するかなえ。菅野は結婚して子供を産み、現在育休中だと近況を報告する。大学が一緒で悟とも面識のあった菅野から、「今度 3 人で飲もうよ」と誘われたかなえは、悟の失踪を打ち明ける。かなえは、失踪したことももちろんだが、一番つらいのは、「彼にとって私は本当の気持ちを話せる相手じゃなかったこと」と、菅野に胸の内を語るのだった。
 菅野から「旦那の知り合い」と紹介され、喫茶店で山崎という探偵(リリー・フランキー)と会うかなえ。一旦 3 か月間の調査期間で 2 週間に一度、調査報告をすることに。見た目から立ち居振る舞いまですべてが胡散臭い山崎に、「悟は“人当たりの良さ”や“優しさ”で本当の自分を隠していたに違いない」と断言され、彼の何がわかるのかとムッとするかなえ。だが、山崎から「人をわかるってどういうことですか?」と尋ねられ、言葉に詰まってしまう。

 アパートが見つかり、一人暮らしを始めた堀は仕事にもすっかり慣れ、月乃湯の常連で煙草屋を営む田島(康すおん)とも親しく接するようになるが、相変わらず自分のことは語らない。一方、カラオケボックスで、山崎から第一回の調査報告を受け、呆然とするかなえ。そこには、悟についてかなえの知らなかった事実がいくつも書き込まれていた。
 ある休日、かなえは堀の運転する車で、廃業する内海湯のバーナーを受け取りに行く。堀がずっといてくれるなら今のまま薪で沸かしてもいいと話すかなえに、「ずっとはいませんね」と淡々と答える堀。かなえは「あちこちで女を泣かせては、面倒になると姿を消しちゃうんでしょ?」とふっかけるが、「今日は、どうしたんですか」とクールに返されてしまう。
 ところが、内海湯に着くと、驚くべき事態が待っていた。店が火事になり店主が姿を消していたのだ。しかも警察は店主が自ら火をつけたと睨んでいるらしい。帰り道、物思いにふけるかなえは、昔から首を絞められる夢を繰り返し見ると堀に語り始める。「それが、私が一番望んでいること」というかなえの不穏な言葉を、堀は黙って聞くのだった。

 調査開始から約束の 3 か月が過ぎ、かなえは山崎から最終報告を受ける。そんな中、銭湯の常連客である美奈(内田理央)の小学生の娘を巻き込む事件が起き、かなえと堀、それぞれが心の奥底に沈めていたある過去が浮かび上がってくる。

 ほどなくして、かなえのもとに悟が見つかった、と山崎から報せが入る。一方、堀もある決意を固めていた──。

CHARACTER & CAST/STAFF

 関口かなえ/真木よう子
 堀隆之/井浦新
 山崎道夫/リリー・フランキー
 関口悟/永山瑛太
 菅野よう子/江口のりこ
 木島敏江/中村久美
 田島三郎/康すおん
 藤川美奈/内田理央

 監督・脚本:今泉力哉  
 音楽: 細野晴臣
 配給: KADOKAWA
©豊田徹也/講談社 ©2023「アンダーカレント」製作委員会
  
公式HP: https://undercurrent-movie.com/

 

2023年10月6()より全国ロードショー
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