2024年3月1日(金)公開『52ヘルツのクジラたち』


本屋大賞受賞〈魂が涙する〉傑作小説
待望の映画化!

INTRODUCTION

 傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家へと移り住んできた貴瑚は、虐待され、声を出せなくなった「ムシ」と呼ばれる少年と出会う。かつて自分も、家族に虐待され、搾取されてきた彼女は、少年を見過ごすことが出来ず、一緒に暮らし始める。やがて、夢も未来もなかった少年に、たった一つの“願い”が芽生える。その願いをかなえることを決心した貴瑚は、自身の声なきSOSを聴き取り救い出してくれた、今はもう会えない安吾とのかけがえのない日々に想いを馳せ、あの時、聴けなかった声を聴くために、もう一度 立ち上がる─。
 2021年、本屋大賞に輝いた町田そのこの傑作ベストセラー小説「52ヘルツのクジラたち」が待望の映画化。〈52ヘルツのクジラ〉とは、他の仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。〈世界で最も孤独なクジラ〉たちにも、その声なき声に耳をすませてくれる相手がきっといる。その声はいつか届く─。切なる想いの先に、胸を揺さぶる希望の光を届けてくれる、今こそ観てほしい愛の物語。

名匠・成島出監督のもとに集結した
日本映画界に新たな輝きをもたらす
若手最旬俳優の競演

 複雑な家族関係から解き放たれようともがく主人公の三島貴瑚には、抜群の演技力で映画・ドラマと幅広く活躍し、国民的女優としての地位を確固たるものにしている杉咲花。貴瑚が幸せになることを一身に祈る塾講師・岡田安吾には、NHKテレビ小説「らんまん」、Netflix「幽☆遊☆白書」など話題作への出演し、何者にも代えがたい存在感で観る者を魅了する志尊淳。職場の上司で貴瑚の初めての恋人になる新名主税には、『エゴイスト』でアジア・フィルム・アワード最優秀助演男優賞を受賞し、世界的にも注目されている宮沢氷魚。貴瑚の高校時代からの親友の牧岡美晴には、『ハケンアニメ!』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した小野花梨。母親に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年には、映画初出演の桑名桃李、眩いばかりの才能が誕生した。
 監督は、日本アカデミー賞監督賞他9冠を受賞した『八日目の蝉』の成島出。エンターテインメントから社会派ドラマまで、人間の強さと弱さ、素晴らしさと愚かさを温かな眼差しで見つめ続ける名匠だ。
 次から次へと荒波が押し寄せる人生という海にも、心の声で呼び合える“魂の番”はきっといる。多様な愛の形が、深い闇に決して尽きない希望の光を届ける感動作が完成した。

STORY 

「この〈52ヘルツのクジラ〉の鳴き声は、あまりに高音で、
他のクジラたちには聴こえない。
だから、世界で一番孤独なクジラって言われてるんだ─」

 海を見下ろす高台に佇む一軒家。東京からやって来た三島貴瑚(杉咲花)は、亡き祖母が暮らしたこの家に一人で住み始める。ある時、突然の雨に打たれて倒れていた貴瑚に、少年(桑名桃李)が傘をさしかけてくれる。貴瑚は声を発しない少年を家へと連れて帰り、濡れたTシャツを着替えさせようとするが、背中一面のあざを見て驚く。その瞬間、少年は逃げ出してしまう。
 翌日、貴瑚は家の修理を頼んだ工務店の村中(金子大地)から少年の母親・琴美(西野七瀬)を紹介されるが、彼女は自分には子供はいないと言い放つ。再び現れた少年を優しく歓迎した貴瑚は、少年にプレーヤーに録音されたクジラの声を聴かせる。それは、他の仲間には届かない52ヘルツの声で鳴く、ひとりぼっちのクジラの声だ。貴瑚は少年に自分もかつて母親からぶたれ、いつも「助けて」と心の中で叫んでいたと語る。「あんたも同じじゃない? でも、あんたの声、私には聴こえたから」と少年を慰める貴瑚は、「私にもね、たった一人、私の声を聴いてくれた人がいたんだよ」と打ち明ける。

 それは、3年前のこと。高校卒業後、毎日ひたすら義理の父の介護に身を捧げていた貴瑚は、母(真飛聖)から義父の病状の悪化を責められ、絶望を抱えて街を彷徨っていた。走ってくるトラックの前に進み出た貴瑚を助けたのが、塾講師の岡田安吾(志尊淳)だった。安吾と一緒にいた同僚が、貴瑚のことを心配していた同級生の牧岡美晴(小野花梨)だったことから、貴瑚は二人に手を差し伸べられる。安吾は貴瑚に、家を出て「新しい人生を生きてみようよ」と提案するのだった。
 美晴のマンションに寝泊まりし、安吾に導かれながら義父の介護施設や一人で暮らすアパートを探す貴瑚。何年ぶりかに笑顔を取り戻した貴瑚は、安吾に付き添われて実家に帰り、縋り付く母親に何とか別れを告げる。帰り道、泣き崩れる貴瑚を、「第2の人生では魂の番と出会うよ。
愛を注ぎ注がれるような、そんな人ときっと出会える」と励ます安吾が、52ヘルツのクジラの鳴き声をプレゼントしてくれたのだった。安吾は自分たちを「アンコとキナコ」と名付け、信頼の絆を結んでゆく。

 そんな過去のある貴瑚には、息子を「ムシ」と呼ぶ琴美のもとに、少年を返すことはできなかった。貴瑚は、少年が筆談で「会いたい」と願う「ちほちゃん」の元に、少年を連れて行こうと決意する。そんな中、突然、東京から姿を消した貴瑚を探していた美晴が現れ、旅に同行することになる。道すがら美晴は貴瑚に、本当は安吾と何があったのかと尋ねるのだった。
 
 2年前、化粧品会社の工場で働く貴瑚は、ある夜、何気ない風を装い、安吾に「アンさんは私にとって特別な人で、大好きで……。アンさんは? 私のこと好き?」と問いかける。「心からキナコの幸せを祈っている」という安吾の答えに、「一生の友達だもんね」と微笑む貴瑚。一人になってから、貴瑚はたまらず涙を流すが、安吾の頬もまた涙で濡れていた。
 その後、貴瑚には新名主税(宮沢氷魚)という初めての恋人ができ、新たな人生を歩み始める。だが、思わぬ出来事が、すべてを一瞬で変えてしまう──。

STAFF&CAST

杉咲花
志尊淳
宮沢氷魚 / 小野花梨 桑名桃李
金子大地 西野七瀬 真飛聖 池谷のぶえ / 余貴美子 / 倍賞美津子

監督:成島出 
原作:町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社刊)
主題歌:「この長い旅の中で」Saucy Dog(A-Sketch)
配給︓ギャガ
© 2024「52ヘルツのクジラたち」製作委員会 

公式HP:https://gaga.ne.jp/52hz-movie/
X:@52hzwhale_movie

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