2024年4月12日(金)公開『プリシラ』


INTRODUCTION

ガーリーカルチャーを牽引するソフィア・コッポラ最新作にして最高傑作!
スーパースターと恋に落ちた少女がたどる魅惑と波乱の日々――。

 数々の賞に輝く映画監督として、そしてガーリーカルチャーの先駆者として、世界に注目されるソフィア・コッポラ(アカデミー脚本賞受賞作『ロスト・イン・トランスレーション』(03)、『マリー・アントワネット』(06))。その待望の最新作は、世界が憧れるスーパースターと恋に落ちた少女プリシラがたどる魅惑と波乱の日々を、プリシラの視点で繊細に美しく描く物語。
14歳のプリシラは、世界が憧れるスーパースター・エルヴィスと出会い、恋に落ちる。彼の特別になるという夢のような現実……。やがて彼女は両親の反対を押し切って、大邸宅グレースランドで一緒に暮らし始める。魅惑的な別世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼の色に染まり、そばにいることが彼女のすべてだったが……。
 シャネルやヴァレンティノが彩る飛びきり甘美なシンデレラストーリーのなかに、ソフィア・コッポラがこれまで描き続けてきた人間の孤独や疎外感といったビターなエッセンスを潜ませた緻密で繊細な本作。エルヴィス・プレスリーの元妻による回想録「私のエルヴィス」をもとに、ファッション・アイコンとしても注目されるソフィアならではの、スタイリッシュで美しい作品世界を創り上げた。『SOMEWHERE』(10)でベネチア国際映画祭金獅子賞、『The Beguiled / ビガイルド 欲望のめざめ』(17)でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞するなど常に高く評価される彼女だが、本作はその最高傑作との声も高く、北米では、オスカー受賞作や話題作を次々と手掛けるA24が配給、多くの女性観客を魅了して『ロスト・イン・トランスレーション』、『マリー・アントワネット』に次ぐ大ヒットを記録した。

ベネチア国際映画祭最優秀女優賞受賞!
夢のような恋と孤独の痛み。ケイリー・スピーニーの驚くほど繊細な演技。

 14歳の少女プリシラの可憐さや、どこか現状になじめずにいるメランコリックな表情は、登場シーンから私たちを惹きつける。そんな普通の少女がエルヴィスと出会う。彼女の視点で彼との出来事が重ねられていくにつれ、その瞬間その瞬間のプリシラの揺れる想いや心の変化を私たちも一緒に体感していく。
 夢のような恋と孤独の痛みの両方を経験していく主人公プリシラ役を演じたのは、ケイリー・スピーニー(『パシフィック・リム:アップライジング』(18))。夢見る少女から意志を持つ大人の女性へと変化を遂げるプリシラの姿を見事に演じ分けるとともに、内面の揺れや変化を驚くほど繊細な表情やたたずまいによって体現した。観る者を魅了する素晴らしい演技は、ベネチア国際映画祭最優秀女優賞を受賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)にもノミネートされるなど高い評価を得ている。
 プリシラだけが知るスーパースターのプライベートな側面を演じたのは、ジェイコブ・エロルディ(「ユーフォリア/ EUPHORIA」シリーズ(TV・19~))。魅力的で華やかで、アーティストとしての葛藤と傷つきやすい心を抱えた、恋人エルヴィスを好演した。

シャネル、ヴァレンティノが彩るプリシラの世界。
60~70年代、ノスタルジックな衣装・音楽・美術の魅力。

 本作を魅惑的に彩るのは、60~70年代のセレブなファッション。劇中のウェディングドレスはシャネル、エルヴィスのタキシードやニットなどの衣装はヴァレンティノ。そしてプリシラがまとうキュートでゴージャスな数々の衣装は、彼女の心の変化をも映し出す。ニットにスカートといった可憐な装いだった少女が、タイトなドレス、黒く染めて高く盛ったヘアに濃いアイメイクという恋人が望む姿に変身していく。でも悩み揺れながら自立心を培っていくにしたがい、時代の流れも相まって、ナチュラルなスタイルに変わっていく。
 音楽を担うのは、世界で絶大な支持を得るフランス出身のロックバンド、Phoenix。60~70年代のエッセンスを彼らのサウンドに落とし込み、スタイリッシュな音楽を創作。加えてソフィアによる当時の空気を醸し出すセレクション――プリシラのテーマとして流れる「ヴィーナス」や、「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」「オールウェイズ・ラヴ・ユー」など――が、シーンをエモーショナルに物語る。そして大邸宅グレースランドに足を踏み入れた瞬間のプリシラの多幸感とリンクする、砂糖菓子のような配色の大邸宅や精巧な調度品などの美術、あるいは光を効果的に取り入れた映像が、音楽とともに、細部まで神経の行き届いたノスタルジックで美しい世界観を創り上げた。
 ラスベガスのカジノ、恋人の隣で浴びるフラッシュ、取り巻き仲間が群れるパーティー、そしてふたりきりの甘美な時間。そんな華やかな“彼の世界”に生きるプリシラの幸せのなかに、“彼の世界”に生きる閉塞感もふと見え隠れする。
 あの頃、夢のような恋をした――。切なくも凛としたラストシーンが心を揺さぶる。

STORY 

 1959年、アメリカ軍将校の父の転属によって西ドイツで暮らし始めた14歳のプリシラは、外国の生活になじめずに寂しさを抱えていた。そんなとき、兵役で赴任していた、世界が憧れるスーパースター、エルヴィス・プレスリーと出会う。笑顔で話しかけられ、信じられない思いのプリシラ。やがて彼は、最愛の母を亡くした悲しみを、ふと彼女に見せる。その傷つきやすい素顔に驚き、アメリカを離れて暮らす寂しさを彼と共有しながら、少女は初めての恋に落ちた。

 エルヴィスは、プリシラの両親に、彼女と一緒の時間を過ごしたい気持ちを紳士的に伝え、許しを得てくれた。映画に行った帰り道、俳優としての真摯な夢やアーティストとしての不安を打ち明けられ、懸命に彼に寄り添おうとするプリシラ。ふたりで過ごすクリスマスには、夢のような“今”を失いたくないと切なく願う。しかし時はあっという間に流れ、兵役を終えた彼が帰国してしまう日がやって来た。プリシラは涙をこらえて飛び立つ彼を見送るしかなかった。

 彼のいない日々が過ぎていく。別れ際に約束した電話はかかってこない。雑誌を開けば、エルヴィスと共演女優の恋の噂でもちきりだ。抜け殻のようなプリシラに、彼を忘れるよう説得する母。

 そして彼が帰国して2 年後。突然、彼から「会いたい」と電話が入り、プリシラは舞いあがる。送られてきたチケットでアメリカへ飛び、メンフィスの彼の大邸宅グレースランドの門をくぐると、そこは陽光あふれる“夢の国”だった。再会したエルヴィスは、
 大勢の取り巻き仲間に緊張するプリシラを、満面の笑みで抱き寄せた。そして向かった先はラスベガス。ドレスをまとい、彼好みのメイクをし、カジノで華麗な時を過ごすなか、彼女は“彼の世界”の虜となった。

 泣く泣く西ドイツに戻ってからも、プリシラの心はエルヴィス一色。両親は、雰囲気が変わってしまった娘に眉をひそめ、この恋に反対する。そんな時、エルヴィスから両親へ、ある申し出がなされる。
 カトリック名門女子高へ転校させ必ず卒業させる、という約束で、エルヴィスの祖母たちも住む彼の邸宅にプリシラを呼び寄せたい、というのだ。「お嬢さんを愛しています。結婚を考えてます」と。両親は、許さなければ勝手に出て行く、という娘には折れるしかなかった。
 プリシラが邸宅に到着したとき、エルヴィスは映画撮影が長引いて不在だった。マスコミを警戒して庭でも遊べない、誰も招けないという窮屈さを早くも味わう彼女だが、それで彼と暮らせる喜びが減るはずもなかった。そんな彼女にLAから電話で、「電話したときにはいつでも家にいてほしい」と望む彼。

 やがて彼が戻ると、大邸宅は華やかに活気づいた。プリシラの胸躍る日々が始まった。借り切ったクラブやスケート場で、エルヴィスや彼の取り巻き仲間と夜通し遊び、朝には学校へ行く毎日。ライフスタイルもファッションも、彼の望み通りに変わっていくプリシラ。彼が選んだドレス、黒く染めて高く盛った髪、目尻を跳ね上げたアイラインにつけまつげ……。そして数か月後、ひどい成績になっていた彼女は、ある手段で卒業にこぎつける。彼からの卒業プレゼントは、真っ赤な車コルヴェア。卒業式場の外には、スーパースターの彼の笑顔が待っていた。
 “卒業”という両親との約束も果たし、ついに誰にも邪魔されないふたりきりの至福の日々が訪れた。しかし彼がハリウッドへ向かうと、すぐに共演女優との恋の記事が雑誌を飾った。プリシラは、意を決して彼に怒りをぶつける。彼の好みに反した、自分が好きなドレスを着て。だが結局は“彼の世界”で生きる自分に戻るしかなかった……。

 やがてある日、「結婚しよう。やっとその時が来た」とエルヴィスからプロポーズされ、プリシラは感激で言葉を失う。両親や親しい人々から祝福された結婚式の後、初めてふたりは結ばれた。
彼の色に染まり、彼のそばにいることが今のプリシラのすべて。
しかし彼女の心には、次第にある思いが芽生えていく……。

STAFF&CAST

監督・脚本:ソフィア・コッポラ『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』
出演:ケイリー・スピーニー『パシフィック・リム: アップライジング』 ジェイコブ・エロルディ「ユーフォリア/EUPHORIA」シリーズ
配給︓ギャガ
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公式HP:https://gaga.ne.jp/priscilla/

 

2024年4月12(金)より全国ロードショー