世界的ベストセラー小説の映画化
アカデミー賞プロデューサー(『スペンサー ダイアナの決意』『ナチュラルウーマン』)が贈る
心揺さぶる感動の実話
INTRODUCTION
幸せな人生を選ぶ決意の手紙を20 万人以上がシェア
フランスから発信された感動の世界的ベストセラーが映画化!
2015年11月13日金曜日の朝。ジャーナリストのアントワーヌ・レリスは息子のメルヴィルと一緒に、仕事に急ぐ妻のエレーヌを送り出した。息子のために健康的な朝食を手作りして体調管理に気を配り、おしゃれでユーモアのセンスもある。最高の母であり、最愛の妻が、突然、天国へ行ってしまった。そんな時でも息子はお腹を空かせ、砂で遊び、絵本の読み聞かせをねだる。誰とも悲しみを共有できない苦しみと、これから続くワンオペ育児への不安をはねのけるように、アントワーヌは手紙を書き始めた。妻の命を奪ったテロリストへの手紙は、息子と二人でも「今まで通りの生活を続ける」との決意表明であり、亡き妻への誓いのメッセージ。一晩で20 万人以上がシェアし、新聞の一面を飾ったアントワーヌの「憎しみを贈らない」詩的な宣言は、動揺するパリの人々をクールダウンさせ、テロに屈しない団結力を芽生えさせていく。
本作は、家族3 人で幸せに暮らしていたアントワーヌが、テロ発生から2 週間の出来事を綴った世界的ベストセラー『ぼくは君たちを憎まないことにした』の映画化である。最愛の人を、予想もしないタイミングで失ったとき、その事実をどう受け入れ、次の行動に出るのか。アントワーヌは確信している、妻はいつもどこかから二人を見守っていると。
たった一人の言葉が世の中の声を変えていく
ヒーロー視しない演出が人間の弱さと強さを浮き彫りに
パリ中心部にあるコンサートホールのバタクラン。アメリカのバンド、イーグルス・オブ・ザ・デスメタルのライブ中に3人の男たちが1500人の観客に銃を乱射し、立てこもった。少し前には、パリ郊外のスタジアムで行われていたフランス対ドイツのサッカー親
善試合や周辺のレストランで過激派組織「ISIL」の戦闘員が自爆テロを起こしていた。バタクランには、アントワーヌの妻、エレーヌと友人がいた。安否確認すらままならないカオスの中で、2日後に判明したのは友人は生き延び、エレーヌは犠牲となった受け入れがたい事実だった。
混乱するアントワーヌの内面を映画化したのは、マラソンに挑戦する老人たちをほのぼのと描くコメディ『陽だまりハウスでマラソンを』(13)のキリアン・リートホーフ監督。おばに勧められたアントワーヌの手記は、メルヴィンと同じ年頃の娘を持つリートホーフ監督の心を打ち、監督はすぐさま映画化を決断。ドイツ人の立場からフランスの悲劇を客観的に見つめ、平明な言葉で憎しみの連鎖を拒絶するアントワーヌに焦点を当てた。
主演は、『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』(14)で真贋の権威であるリシャール・ブレ役で綾瀬はるかと共演し、『エッフェル塔 創造者の愛』(21)にも出演する実力派ピエール・ドゥラドンシャン。負の感情と自らの言葉の間で苦悩する、感受性豊かなアントワーヌを熱演する。妻のエレーヌ役にはシンガーソングライターでもあるカメリア・ジョルダーナ。19 年出演のアクション『レッド・スネイク』ではISIL を征伐する女性特殊部隊の一員として出演している。お風呂と絵本が大好きなメルヴィルには、当時3 歳だったゾーエ・イオリオ。子役コーチによる演技訓練や長時間にわたるリハーサルに耐え、ママの不在に悲しみの涙を流し、笑顔を忘れたパパを支える愛息を演じている。
無差別襲撃から1年後の16年11月12日。バタクランはエンターテインメントを愛する人々に支えられ、全面改装してスティングのコンサートで再オープンした。2023年現在も人気の会場として営業を続けている。
STORY
2015年11月13日金曜日。アントワーヌ(ピエール・ドゥラドンシャン)の忙しい1 日が始まった。ヘアメイクアーティストの妻エレーヌ(カメリア・ジョルダーナ)はコルシカ島への家族旅行より仕事を優先したいと心変わりし、1 歳半を過ぎたばかりの息子のメルヴィル(ゾーエ・イオリオ)はお気に入りのぬいぐるみがいないと大騒ぎして、アントワーヌをイラつかせる。仕事先に急ぐ妻を見送り、息子を保育園に預けると、やっと一人の時間が訪れた。新作の執筆に取り掛かるが、アントワーヌの手は動かない。1 日かけても1 行も書けないスランプに陥っていた。
仕事から戻ったエレーヌは、友達のブリュノとバタクラン劇場で行われるイーグルス・オブ・デス・メタルのライブに出掛けるとおしゃれに忙しい。パリの町もフランス対ドイツのサッカーの親善試合に興奮している。メルヴィルを寝かしつけ、のんびりと読書するアントワーヌに兄のアレックス、エレーヌの姉アニーからメッセージが送られてくる。あわててテレビをつけたアントワーヌはがく然とする。サッカースタジアム周辺とバタクラン劇場で同時多発テロが発生したというのだ。
エレーヌに電話してもメッセージが流れるだけで、ブリュノからの電話もすぐに途切れた。アントワーヌは兄と一緒にパリ中の病院を尋ねまわるが、血まみれの犠牲者と救急隊員であふれかえる病院に妻はいない。白々と夜が明けてゆく。メルヴィルが起きる時間だ。お腹を空かせた息子のために、朝食を準備しなくては。
オランド大統領は非常事態宣言を発令し、「過激派組織“イスラム国”の武装テロリストにより戦争行為が行われた」と犯行を激しく非難。フランス中に恐怖と怒りが渦巻く。しかし、メルヴィルは普段通りの土曜日を楽しそうに過ごし、アントワーヌに抱っこされたまま眠りに落ちた。その直後、恐れていた知らせが届く。エレーヌはバタクランで命を落としたのだった。
遺体安置所で会えた妻は、いつものように美しかった。アントワーヌの瞳からこらえていた涙がこぼれる。と同時に、言葉がほとばしる。それは、テロリストに宛てた手紙であり、憎しみの連鎖に巻き込まれないよう自らを律し、息子との新しい生活を受け入れる決意表明だった。翌朝、フランスの一流紙「ル・モンド」の一面に、アントワーヌのメッセージが掲載された。無差別テロに傷つく人々と共鳴した言葉は世界中を駆け巡り、怒りを鎮め、憎悪を生きる喜びに転換させていった。
エレーヌのいない生活が始まった。アントワーヌとふざけるのが大好きなメルヴィル。メルヴィルを笑わせるのが大好きなアントワーヌ。幸せで自由な生活が二人を包みこんでいた。
STAFF&CAST
監督・脚本:キリアン・リートホーフ『陽だまりハウスでマラソンを』 出演:ピエール・ドゥラドンシャン(アントワーヌ・レリス)、カメリア・ジョルダナ (エリーナ・レリス) 原作:「ぼくは君たちを憎まないことにした」 配給:アルバトロス・フィルム ©2022 Komplizen Film Haut et Court Frakas Productions TOBIS / Erfttal Film und Fernsehproduktion 公式HP:https://nikumanai.com/
2023年11月10日(金)より全国ロードショー
大阪ステーションシティシネマ/TOHOシネマズなんば/京都シネマ/TOHOシネマズ西宮OS